corgibell.com

入院してステーキ


バンコクで何故か3回も入院している。
タイの医療技術はたいしたもので、病院の設備も立派で、お医者さんの技量も高い。
大きな病院には東大や慶応の医学部卒のお医者さんがゴロゴロしていて、「今日はどうしましたか?」と普通に日本語をしゃべっている。
その大きな病院がバンコクにはいくつもあって、バンコクにいる限り病気になった時のことは気にせずに安心して暮らすことが出来る。

話はがらっと変わって、20年前のバンコクには日本飯屋さんが今ほど充実していなくて、日本から東南アジアに流れてきた料理人がほそぼそと店を構えているのがほとんどだった。
その中で、飛び抜けて立派な店を構えていたのが、「日本亭」で、駐在員とその家族の憧れの存在だった。
値段も飛び抜けていたので、若い駐在員(と言っても当時40才)には高嶺の花で、「家族で1年に1回は行きたいね」と嫁さんと話をしていた。

話を病院に戻して、1週間入院した時のこと。
幸い、内科的には至って健康で、食欲も旺盛な状態での入院だった。
看護婦さんが「夕食はどうしますか」と言いながら持ってきたのが、かの「日本亭」のメニュー。
病院に出前サービスをしているとのことで、憧れのメニューがずらり。
看護婦さんに恐る恐る「ステーキを頼んでも良いですか?」と聞いたら、「もちろん、メニューにあるものなら何でもどうぞ」とのこと。
かくして、メニューの中で一番高い「アメリカンビーフステーキ」を指さして注文。
本当かなと思いながら、夕食を楽しみにしていたら、確かに「日本亭」のお皿でステーキが出て来た。
かくして、ベッドに寝ながら、ナイフとフォークを使ってステーキをペロ。
そして、次の日はこれまた憧れの「特上にぎり」。
いやぁー、至福の毎日だった。

入院代は保険会社が支払ってくれることになっていたのだけれど、退院する時に日本亭の飯代だけは別に請求されるのでは無いかと心配していたら、「支払いは全て保険で処理されています」とのことで、ラッキー。
何で入院していたかは、秘密。

(3回入院の内の1回は、発疹チフスで、この時は食事を楽しむどころでは無かったけど)

写真は「バンコク病院」で、足の骨折でお世話になった。
ステーキを食べたのは、「バムルンラード病院」