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日本をしばらく離れる前に、 何を食べて、どこへ行くか

2015年10月9日~29日


10月9日

しばらく日本を離れることに。
今月末には出発するつもり。

リタイアしてからちょうど2年が経ち、有意義かつ毎日忙しく過ごしてきた。
そして、やりたいと思って優先順位のトップに置いてきたことは一通りやり終え、3年目はどうしようかと考えていた時にお誘いを受けて、4度目になる海外での仕事をすることに。

20日後には出発するので、日本での生活を愛おしく想いながら1日1日を大事に過ごしている。
離日までの間、日本のことを何回かアップするつもりなので、お付き合い願う。

どの国へ、何の仕事をしに行くかは、改めて。


10月10日

しばらく日本の美味しいものが食べられなくなるので、渡航準備でドタバタと忙しい合間を縫って美食巡り。
まずは、「もう一度食べておきたい美味しい日本」、その1。

日本の美味しいものと考えれば、まずは何と言っても「お寿司」。
自分のひいきは、札幌の「一幸」と、銚子の「治ろうや」。
銚子には嫁さんの実家があるので、「治ろうや」には年に何回も通っている。


お寿司は、捕れたての魚を新鮮で冷たくしたネタよりも、捕れてから数日置いて旨味が増したところを室温にして握って食べるのが美味しい様で、それを実践しているお店。
「数日置くにしても、捕れたてをすぐ捌く(血を抜く)のが旨さの秘訣」とのことなので、やはり港町にあるお寿司屋さんは有利。
ちなみに、札幌「一幸」の店主も、「漁師のところに行って直接仕入れ、持ってきた包丁とまな板で、その場で捌く」と言っていた。

「しばらく来られないので、スペシャルを握って」と事前に頼んであったのだけど、今日は銚子スペシャルで、全て銚子で水揚げされた魚。嫁さんの実家は贅沢な場所にあって、美味しい日本を堪能出来る数少ない街だね。


10月11日

「もう一度食べておきたい美味しい日本」その2は、「鰻」。

海外でも食べられないことは無いけれど、どれも加工済みパックを暖めているだけ。
お客さんの目の前で捌いて、煙モクモクの炭火で焼いているその横で、焼きたてでフワフワに柔らかくて美味しい鰻が食べられるのは日本だけ。

自分のひいきは、成田山参道の「川豊」。
今日もお店の一番前で大将がテンポ良く鰻を捌き、その横で香ばしい匂いの煙を出しながら焼いている。
いつも沢山のお客さんで混んでいるけれど、手捌きを見ながら待つのは苦にならず。
そして、今日も美味しかった!


10月17日

「もう一度食べておきたい美味しい日本」、お寿司と鰻に続いて、和食を代表する3つ目として「天ぷら」。

天ぷらも海外で食べられるけど、揚げ立てのふんわりサックリをフーフーさせながら食べられるのは、自分の経験では日本だけ。
(今夏、大戸屋がNYで初めての天ぷら専門店を開店させたらしく、たぶんとてもサックリでフーフーなんだろうけど、一人3万円はちょっと高い)

以前に高知産の新レンコンの天ぷらに感激して以来、野菜の甘味を一番楽しめるのは天ぷらだと思っている。

今回は、近場の府中で「つな八」へ。
いつものお兄さんが手際良く12品を揚げてくれた。


10月14日

「もう一度食べておきたい美味しい日本」の番外編で、「日本でしか食べられない美味しいもの」を3回ほど。

まず最初は、「日本の洋食」。
例えば、オムライスとか、ポークソテーとか。
オムライスは日本発祥だし、ポークソテーは醤油と日本酒で味付けするので、海外のお店ではなかなか食べられない。
日本食ブームなので、ラーメンや寿司など和食のお店は海外のほとんどの街にあるけれど、「日本の洋食屋さん」は見た記憶が無い。
そして、日本で我々が普段から良く食べているのが、この日本の洋食なんだよね。


と言うことで、一番の好物「ポークソテー」を食べに人形町の「そよいち」に。

結婚する前、「美味しいから」と嫁さんに連れられて行った「きらく」のポークソテーがやたらに旨かった。
でも、一連の海外生活が終わったところで再訪したら、全然美味しくなくて、お店を間違えたのかとずっと気になっていた。

インターネットで何でも簡単に調べられる時代になり、「人形町・ポークソテー」でググったら、全てが分かった。
親父さんが亡くなって、「きらく」を継いだ長女が味を完全に変えてしまい、次女が親父さんの味を復活させたのが、ここ「そよいち」。

説明が長くなったけど、ここのポークソテーは、柔らかくてジューシーで、豚肉の旨味と脂味があふれていて、とても美味しい。
昨年、20年ぶりに見つけて訪れた時は、「これだよ、これ!」と感激ものだった。
そして、しばらく拝めないので、もう1回食べておくことに。

「なるべく脂多めで」と頼んだら、仕込み済みの大きな豚肉の固まりの中から白が多い部分を選んでくれた。
今日も幸せの美味しさだった。

豚肉を固まりのままで熟成させるのが旨さの秘密とのことだけど、レシピが公開されているので、自分でもなんとか作れるかも。
http://cookpad.com/recipe/2216324


10月15日

番外編「日本でしか食べられない美味しいもの」の2つ目は、「卵掛け御飯」。

生卵を安心して食べられるのは、自分が知る限り日本だけ。
ヨーロッパではサルモネラ菌に良く当たるし、アジアでは取れたてでも運送中のトラック荷台で何時間も炎天下に放置だし、生で食べるのはちょっと勇気がいる。

採れたての新鮮な卵を買ってきて、我が家で「卵掛け御飯」。

これ以上無いと言う条件の美味しい「卵掛け御飯」を食べたくて、
御飯は、「魚沼産コシヒカリ」の新米、
炊いたお釜は、「南部鉄器」、
お醤油は、ヒゲタの年に一回限定生産の「玄蕃蔵」。
そして、肝心の卵は、取れたて「伊勢の赤玉」。

イヤー、美味しいの何の!

「卵掛け御飯」は、シンプルだけど、日本独特のとっても贅沢な食べ物だと思う。


10月14日

番外編「日本でしか食べられない美味しいもの」の最後は、「日本の洋食」と「卵掛け御飯」に続いて3つめで、「鯨の竜田揚げ」。

子供の頃からず~っと好きで、中学生くらいまでは毎週食べていたように思うけれど、海外では何をどう頑張っても食べられない。

竜田揚げには、遠海の大型ミンク鯨よりも、近海の中型ツチ鯨が向いている。
関東近辺では、房総沖/和田港で今も夏場だけ漁が行われている。

そのツチ鯨を東京で食べられるのは、東京大学のそばにある「ひみつクジラ」だけ。
香ばしくて、柔らかくて、ちょっとだけ鯨独特の臭みがあり、昔懐かしい味で、最高に美味しい。
(和田港では6月20日から8月31日の間に26頭の捕鯨が水産庁から許可されているのだけれど、今年は最後の日がしけたので、24頭だったとのこと)

鯨を食べることを欧米から批判され、捕鯨に対し暴力で攻撃を加える団体もある。
これは、異文化を認めずに一方的に攻撃を加えると言った観点から見れば、IS/イスラム国と何も変わらない。
さらに、捕鯨反対には、人種差別や哺乳類の中の差別の概念が根底にあり、過去の大罪を未だに引きずっていて気が付こうとしない欧米人の我がままが情けない。

鯨を食べてきたのは昔からの日本の文化。
自分を育ててくれた動物性タンパク質の鯨に感謝しながらの一食。
しばらく食べられなくなるので、愛おしさを感じながら、一口一口噛み締めて味わった。


10月19日

今夜は例のクジラ屋さん「ひみつクジラ」で、釧路近海で取れたての冷凍していない生ミンク鯨の刺身を食べる予定だったんだけど、物が届かないとのことで、22日(木)に延期。
ウ~ン、楽しみにしてたんだけどなあ!


10月20日

「もう一度食べておきたい美味しい日本」は小休止して、「もう一度行っておきたい日本」へ向けて、西へ移動中。


「もう一度行っておきたい日本」は、白川郷。

京都の様に大きな街は別にして、小さな観光スポットとしては最も日本的な風景だと思っている。

白川郷にずーっと憧れていた割には、とっても奥深い場所にあって行くことが出来ないと勝手に思っていたのだけど、東海北陸道が名古屋とつながってからは簡単に行ける様になり、なんだかんだで8回目。
「白川郷に大雪が降っている」というニュースが流れた次の日が快晴で、日帰りで写真を撮りに飛んで行ったこともあったっけ。


合掌造りの宿に泊まるのは4回目。
今回は、唯一床暖房が入っていて、一度泊まりたいと思っていた「幸エ門」に。
これまでは隙間風に寒い思いをして泊まっていたけど、ぬくぬくと暖かくて、幸せ。


10月21日

今日の朝散歩は、白川郷。


宿「幸エ門」の”いろり”。

煙で燻して乾かすことで、藁葺き屋根の寿命が延びるため、火を絶やさないとのこと。
昔は2階でカイコを育てていて、その暖房のためでもあったらしい。

”いろり”の煙と隣の合掌造りがちゃんと写っているのが良いでしょ。


白川郷にロードスターで来たのは初めてなので、記念写真。

白川郷は車両侵入禁止になったのだけれど、宿泊客は例外。
もっとも、昼間は人が多過ぎて物理的に走れないので、早朝に。
堂々と車を乗り入れて、定番の写真スポット3ヶ所でパシャパシャ。

”黄色いの”にしばらく乗れなくなるので、堪能中。


10月22日

取れたてミンク鯨が入荷したとの電話を貰ったので、白川郷から一転して改めて「ひみつクジラ」へ。
「クジラは臭いから嫌い」と言う嫁さんも一緒に。

釧路では10月中に50頭の近海ミンク鯨捕鯨が許可されていて、冷凍していない生の捕れたてが届いていた。
1枚目の写真が、そのミンク鯨の刺身。
あっさりしていて、とても美味しい。
見ても食べても、鯨とは信じられず、ちょっと感激。
マグロで言えば、赤身。


2枚目の写真は、房総の和田港で取れたツチ鯨の刺身。
マグロで言えば中トロ。
脂が乗っている。
8月に取れているので、冷凍物だけど、柔らかくて美味しい。

3枚目の写真は、そのツチ鯨の刺身用を竜田揚げにしたもの。
自分の大好物。

なんだかんだ言いながら、嫁さんもペロッと食べていた。
日本だけのとっても贅沢な食べ物。
鯨に感謝!


10月23日

夕飯は地元で隠れ家イタリアン。
今日も嫁さんと飲み歩き。


「一番美味しかった日本」

この2年間、北海道から九州まで駆け巡ったけど、「一番美味しかったものは?」と考えると、嫁さんとピッタリ意見が一致して、これ。
札幌にあるミシュラン2つ星のお寿司屋さん「一幸」で食べた厚岸の牡蠣。

店主の講釈によると、
「牡蠣が生臭いのは含まれている水分が原因で、これを徹底的に取ってから、旨味が増すまで数日置き、最後に札幌競馬場に納められている干し草で軽く炙るのが一番美味しい」とのこと。

ぷりぷりの大きな牡蠣。
臭みが無くて、トロッとクリーミーで、口の中で溶けながら旨味が広がって、思わず「ウマ!」と言ってしまった。

厚岸の牡蠣が一番美味しいは12月から2月とのことで、今年の札幌雪祭りの時に、お店を予約していたのだけれど、残念ながら3年連続の北海道行きは叶わず。
帰国したら、真っ先に札幌へ飛んで行かなくっちゃ。


10月26日

「もう一度食べておきたい美味しい日本」の最後は特別編で、日本に限定しないで「自分が美味しいと思った食べ物ベスト5」。

第1位
NY「シェイクシャック」の“ハンバーガー”
※ハンバーガーの常識を変える美味しさで、来年に外苑イチョウ並木通りに開店する日本1号店が楽しみ!

第2位
札幌の寿司屋「一幸」の臭みを抜いて数日寝かせた”厚岸の牡蠣”
※昨日のFBの通りで、旨いの極み

第3位
地元の伝説のラーメン屋「マンボウ亭」の“魚介ラーメン”
※何気なく毎週トコトコ5分歩いて食べに行っていたけれど、閉店して食べられなくなってみると、至福の場所に住んでいたのだと感無量。
 添付Webの様に石神秀幸が何回も絶賛していて、小金井の誇りだった。
 http://ameblo.jp/ishigamihideyuki/entry-10359686936.html?frm=theme

第4位
NY「ノブ」のランチコースで食べた“サワラの西京焼き”
※ランチに5千円以上も出したのは生まれて初めてで、これを毎日食べているニューヨーカーは凄いと思ったけれど、感激するほど美味しかった

第5位
ダラスの中華料理屋「香港」の“卵あんかけ牛焼肉ごはん”/Steamed Rice with Beef & Raw Egg
※元ダラス在住者と我が家では、伝説の食べ物

残念ながら、第3位と5位は閉店したため、2度と食べられないけれど、時々無性に食べたくなる。

なお、ヨーロッパでは感激するほど美味しいと思ったことが無くて、ランクイン無し。
例えば、フレンチは日本の方が美味しいと思うし、ヨーロッパの味付けは、香辛料に頼りすぎているのか、あまり自分には向いていないみたい。

一連の美味しいもの編を書きながら食べていて気が付いたのだけど、どうも自分は香辛料が苦手みたい。
自分の味覚について、一度じっくり書くつもり

日本を愛おしいと思いながら書いてきた一連の「もう一度・・しておきたい日本」はこれでお仕舞い。
お付き合い、ありがとう!


10月29日

今、羽田。
日本を愛おしく想いながら、1日1日を大事に過ごしてきたけれど、いよいよ出発することに。

海外に居を移すために日本を離れるのは4回目。
これまでは、出発準備がひたすら忙しくて、現地に着いてホッとする状態だったけれど、今回は日本を楽しみながら、ゆっくりと過ごすことが出来た。(最後の2日間だけはパッキングで大騒ぎだったけれど)

行き先は、タイのバンコク。
以前にも3年間生活していたので、勝手知ったる街。
今は軍事政権なので、何かと心配する向きもあるけれど、爆弾騒ぎがあっても街中は平静そのもの。
少なくとも、ニューヨークのマンハッタンで暮らすよりは、各段に安全なので、ご心配無く。

何をしに行くかというと、ズーッと一緒に仕事をしてきたUD Trucksの皆さんには申し訳け無いのだけれど、何故か競合しているFUSOの仕事。

いつも一緒に行動していた家族が3ヶ所バラバラに。
でも、最近は世界の何処にいても簡単にコミニケーション出来るので、良い時代になったもんだね。
娘の「ベルリン日記」に対抗して、「バンコク日記」を書いていくつもり。
引き続きお付き合いの程を。

それでは、行ってきます!


2015年10月9日~29日のFacebookを一部修正&加筆